太陽光発電の先行きと次世代太陽電池「ペロブスカイト太陽電池」(2)

現在、主流であるシリコン結晶系太陽電池に代わって、高い性能を期待されている太陽電池が、ペロブスカイト太陽電池です。

ペロブスカイト太陽電池とは

ペロブスカイトとは、結晶構造の名称。その構造を光を吸収しやすい黒色にし、太陽電池に適用したものをペロブスカイト太陽電池といいます。

ペロブスカイト構造は、1980年代にはじめて報告された結晶構造のひとつ。ABX3型の典型的な構造。

ペロブスカイト構造
ペロブスカイト構造(図はWikipediaより)

ペロブスカイト太陽電池の特徴

  • 薄くて、軽く、折り曲げやすい。
  • シリコン系太陽電池とほぼ同じくらい変換効率が高い。
  • 低温で簡単に加工できる(種類もある)。

以上のように、効率はシリコン系太陽電池とあまり変わらず、薄くて軽く、折り曲げやすいことで、たとえばビルの壁面だったり、テントの局面などに ペロブスカイト太陽電池を敷設できたりします。

後述する京都大学の若宮教授の研究室がわかりやすい動画を作成されているので、そちらをぜひご覧ください。

すぐにわかる塗ってつくれる太陽電池の開発研究 ~ペロブスカイト太陽電池研究最前線~(元動画はこちら
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これまでの太陽光発電と「ペブロスカイト太陽電池」へ至る経緯

NEDOを中心に太陽光発電の技術開発を推進

日本は、国立研究開発法人新エネルギー・産業総合開発機構(通称、NEDO:ネド)を中心に、太陽光発電のリサイクル技術の開発や、発電システム効率の向上、発電コストの削減を目標に研究開発を国家的に推進してきました。

しかし、2010年代に入ると、日本企業は太陽電池分野でグローバル競争に、トラウマと言っていいような大敗を続けます。

ひとつは、SHARPが2014年度(15年3月期)に同様の引当金を計上したため、営業赤字に転落したこと。その後、同社が台湾企業に買収されたことをご存知の方もいることでしょう。

ほかにも、京セラが2017年度(18年3月期)に販売減に加え、原材料であるポリシリコン(ポリSi)の長期契約に伴う引当損失(500億円強)を計上したため、許諾の赤字に陥りました。

NEDOの最近のプロジェクトを見ると、「発電コスト14円/kWhを十分に下回る性能の確認を目指しています。」とあります。しかし、中国は結晶系SiPV(シリコン結晶系太陽電池で2018年前後に、1Wあたり0.3ドル(PVinsights調べ)ぐらいの価格で推移していました。

2017年頃から1Wあたり0.3ドル程度で発電できることがわかる。
引用:IEA Special Report on Solar PV Global Supply Chains
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気候危機に対抗するためのライフスタイル変革

変革が求められる消費者のライフスタイル

カーボンニュートラルの達成のためには、国や自治体、企業だけではなく、わたしたち一人ひとりの取り組み、とりわけ大きなライフスタイルの変革が必要です。現在の私たちの標準的なライフスタイルのなかでのエネルギー消費内訳は下記の通りです。

引用:令和4年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書より

実は、日本の温室効果ガスの排出量のおよそ6割が家計によるものという報告があるのです。ライフスタイルの変革が実に必要性の高いものであることがおわかりいただけるでしょう。

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気候危機にたいしてわたしたちができること

もういちど第6次エネルギー基本計画および目標の図を見てみましょう。

エネルギー基本計画が定める電源比率

脱炭素には、「化学石油燃料の使用割合を減らし」「再生可能エネルギーの使用割合を増やす」ことが重要です。

また、そもそもの使用エネルギー全体を減らすために「省エネ」にも積極的に取り組まなければなりません。

おもに産業分野を中心に脱炭素が叫ばれていますが、消費者であるわたしたちにも脱炭素に取り組む義務があります(法制度化や刑罰化はされていませんが)。

消費者としてできることを考えていきましょう。

  1. 化学石油燃料を極力使わない(ガソリンやディーゼル機関を使わない)
  2. ゴミを減らす(ゴミの埋立地を減らす)
  3. 再生可能エネルギーに切り替える
  4. 声をあげる
  5. 「食」「住まい」「ファッション」を変革する
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気候危機による私たちへの影響は?

これまで日本政府のエネルギー基本計画や世界レベルでの取り組みをお伝えしてきましたが、「いまいちピンとこない」というご意見をよく聞きます。

地球温暖化と聞くと、気温が高くなっていくのね→最高気温を更新したり、真夏日みたく暑い日が多くなるのね、と思うあなた!

間違いではありません。
が、それだけではありません。

気候変動の影響はすでに出ているという国際機関の論文や声明がありますし、実際には「世界の異常気象」というかたちで、目に見える現象として起きているのです。

気候危機の影響であるといわれる異常気象

まず、異常気象とは何かをご説明します。異常気象とは、30年に1度ぐらいしか起こらない気象現象をさします。

しかし近年、たとえば2015年から2019年を例にとると、5年間に同じ地域で何度も異常高音が記録されていることが多いことがわかっています。

この異常高音により、干ばつにより大規模火災が森林で発生したり、深刻な熱波と水不足になったり、熱波と豪雨が頻繁に起きるようになったり。

気象庁に「世界の異常気象」に関するホームページがありますので、そこから、アジア地域における異境気象を一部ご紹介します。

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