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【NEWS】ペロブスカイト関連ニュース〜2022年9月上旬

一般共用施設への設置計画としては世界初の事例に

積水化学工業は2022年8月、西日本旅客鉄道(以下、JR西日本)が開業を目指す「うめきた(大阪)地下駅」にフィルム型ペロブスカイト太陽電池を提供・設置すると発表しました。JR西日本によると、一般共用施設への設置計画としては世界初の事例になるといいます。

うめきた(大阪)駅全体での二酸化炭素排出量の削減効果

参照:ペロブスカイト太陽電池を世界初導入、JR西日本が「うめきた」新駅に
参照:eco ステーション うめきた(大阪)駅の環境の取り組み

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太陽光発電の先行きと次世代太陽電池「ペロブスカイト太陽電池」(2)

現在、主流であるシリコン結晶系太陽電池に代わって、高い性能を期待されている太陽電池が、ペロブスカイト太陽電池です。

ペロブスカイト太陽電池とは

ペロブスカイトとは、結晶構造の名称。その構造を光を吸収しやすい黒色にし、太陽電池に適用したものをペロブスカイト太陽電池といいます。

ペロブスカイト構造は、1980年代にはじめて報告された結晶構造のひとつ。ABX3型の典型的な構造。

ペロブスカイト構造
ペロブスカイト構造(図はWikipediaより)

ペロブスカイト太陽電池の特徴

  • 薄くて、軽く、折り曲げやすい。
  • シリコン系太陽電池とほぼ同じくらい変換効率が高い。
  • 低温で簡単に加工できる(種類もある)。

以上のように、効率はシリコン系太陽電池とあまり変わらず、薄くて軽く、折り曲げやすいことで、たとえばビルの壁面だったり、テントの局面などに ペロブスカイト太陽電池を敷設できたりします。

後述する京都大学の若宮教授の研究室がわかりやすい動画を作成されているので、そちらをぜひご覧ください。

すぐにわかる塗ってつくれる太陽電池の開発研究 ~ペロブスカイト太陽電池研究最前線~(元動画はこちら
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これまでの太陽光発電と「ペブロスカイト太陽電池」へ至る経緯

NEDOを中心に太陽光発電の技術開発を推進

日本は、国立研究開発法人新エネルギー・産業総合開発機構(通称、NEDO:ネド)を中心に、太陽光発電のリサイクル技術の開発や、発電システム効率の向上、発電コストの削減を目標に研究開発を国家的に推進してきました。

しかし、2010年代に入ると、日本企業は太陽電池分野でグローバル競争に、トラウマと言っていいような大敗を続けます。

ひとつは、SHARPが2014年度(15年3月期)に同様の引当金を計上したため、営業赤字に転落したこと。その後、同社が台湾企業に買収されたことをご存知の方もいることでしょう。

ほかにも、京セラが2017年度(18年3月期)に販売減に加え、原材料であるポリシリコン(ポリSi)の長期契約に伴う引当損失(500億円強)を計上したため、許諾の赤字に陥りました。

NEDOの最近のプロジェクトを見ると、「発電コスト14円/kWhを十分に下回る性能の確認を目指しています。」とあります。しかし、中国は結晶系SiPV(シリコン結晶系太陽電池で2018年前後に、1Wあたり0.3ドル(PVinsights調べ)ぐらいの価格で推移していました。

2017年頃から1Wあたり0.3ドル程度で発電できることがわかる。
引用:IEA Special Report on Solar PV Global Supply Chains
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太陽光発電の先行きと次世代太陽電池「ペロブスカイト太陽電池」(1)

現在普及している再生可能エネルギーでも主流であり、2030年度の目標においても中心的存在となる太陽光発電。太陽光発電は英語で「PhotoVoltaic」あるいは「Solar Photovoltaic」と表されます。ご存知の通り、太陽光を感光センサーで感知し、電流に変換して電気エネルギーを生み出すのが太陽光発電の基本原理。ここでは、現在の太陽光発電の特徴や課題、そして次世代の太陽光発電と言われる「ペロブスカイト(Perovskite)太陽電池」を紹介します。

ちなみに、ペロブスカイトなのでお間違いなく。

蛇足ですが、2021年末で世界の太陽光発電量の総計は410GW(ギガワット)で、そのうち、シリコン結晶系太陽電池の「PERC」と呼ばれる形式がシェアのほとんどを握っています。

※PERCは「Passivated Emitter and Rear Cell」の頭文字です。

引用:IEA Special Report on Solar PV Global Supply Chains
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気候危機に対抗するためのライフスタイル変革

変革が求められる消費者のライフスタイル

カーボンニュートラルの達成のためには、国や自治体、企業だけではなく、わたしたち一人ひとりの取り組み、とりわけ大きなライフスタイルの変革が必要です。現在の私たちの標準的なライフスタイルのなかでのエネルギー消費内訳は下記の通りです。

引用:令和4年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書より

実は、日本の温室効果ガスの排出量のおよそ6割が家計によるものという報告があるのです。ライフスタイルの変革が実に必要性の高いものであることがおわかりいただけるでしょう。

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