太陽光発電の先行きと次世代太陽電池「ペロブスカイト太陽電池」(1)

現在普及している再生可能エネルギーでも主流であり、2030年度の目標においても中心的存在となる太陽光発電。太陽光発電は英語で「PhotoVoltaic」あるいは「Solar Photovoltaic」と表されます。ご存知の通り、太陽光を感光センサーで感知し、電流に変換して電気エネルギーを生み出すのが太陽光発電の基本原理。ここでは、現在の太陽光発電の特徴や課題、そして次世代の太陽光発電と言われる「ペロブスカイト(Perovskite)太陽電池」を紹介します。

ちなみに、ペロブスカイトなのでお間違いなく。

蛇足ですが、2021年末で世界の太陽光発電量の総計は410GW(ギガワット)で、そのうち、シリコン結晶系太陽電池の「PERC」と呼ばれる形式がシェアのほとんどを握っています。

※PERCは「Passivated Emitter and Rear Cell」の頭文字です。

引用:IEA Special Report on Solar PV Global Supply Chains

日本の太陽光発電の導入ポテンシャル

まず、前提として現在設置済みの住宅用あるいは産業用の太陽電池は故障をしたり、故障したりする可能性があります。あるいは老朽化などで置き換えが進む可能性があります。

したがって、現在設置済みの敷地に太陽光発電を増やすことができないという可能性はあるでしょう。

ここでは、東京大学公共政策大学院が作成した「世界から見ると乏しい日本の太陽光発電導入可能量とその拡大策」(2022年3月)という資料を参照します。

以下、引用します。

日本の立ち位置は、太陽光資源に最も恵まれたナミビアから最も恵まれていないアイルランドまでの 210 カ国中、①理論的ポテンシャルが 181 位、②実務的ポテンシャルが182 位である。図 8 に示すように同緯度帯にあるスペインの①140 位、② 83 位、イタリアの①164 位、②140 位に比べも低位にあり、一人当たり電力消費量が比較的多い国でありながら太陽光発電のポテンシャルに恵まれていない国であることが分かる。また、③経済的ポテンシャルを示す LCOE(平均発電コスト)の平均値も表中の 13 ヵ国中最下位となっている。

東京大学公共政策大学院が作成した「世界から見ると乏しい日本の太陽光発電導入可能量とその拡大策」(2022年3月)

上記の結論を要約すると、日本は電力消費量が比較的多い区にでありながら太陽光発電のポテンシャル(設置面積可能性)に恵まれていないことがわかる、のです。

太陽電池の種類

現在の主流は2種類で「シリコン系太陽電池(c-Si)」と「テルル化カドミウム太陽電池(CdTe)」です。世界シェアでは、s-Siが95%と圧倒的に高いのが実情です。しかし、後述するようにシリコン系太陽電池にはメリットも大きい一方で、課題があります。

そうした中で、次世代太陽電池といわれる「ペロブスカイト太陽電池(Perovskite PV)」が脚光を浴びており、開発競争が現在激しくなっています。

シリコン系太陽電池の特徴

シリコン系太陽電池の主な特徴は以下の通りです。

  • 現在圧倒的なシェアを誇っている。
  • 価格が低廉化している。
  • 屋外耐久性が高い(約30年以上)。

化合物系太陽電池の特徴

化合物系太陽電池とは、複数の物質を化学的に合成した物質からなる太陽電池のこと。DSC(色素増感)やOPV(有機薄膜)タイプなどがあり、高性能かつ高価。主な特徴は以下の通り。

  • 光の波長が広いために理論的な変換効率が高い。
  • 開発途上であるため、効率向上の余地が大きい。
  • 銅(Cu)、インジウム(I)、セレン(Se)などの化学物質を使用。

ペロブスカイト太陽電池の特徴

  • 薄くて、軽く、折り曲げやすい。
  • シリコン系太陽電池とほぼ同じくらい変換効率が高い。
  • 低温で簡単に加工できる(種類もある)。

以上のように、効率はシリコン系太陽電池とあまり変わらず、薄くて軽く、折り曲げやすいことで、たとえばビルの壁面だったり、テントの局面などにペロブスカイト太陽電池を活用できたりします。

シリコン系太陽電池とペロブスカイト太陽電池の比較表

やや正確性に欠けるかもしれませんが、わかりやすさを優先して、比較表にまとめます。

シリコン系太陽電池ペロブスカイト太陽電池
原料c-Si
(日本への輸入が必要)
結晶構造であり国内調達可能
形状硬いフィルム状などフレキシブル
発電効率約25%
(住宅用平均4kWを発電)
材料や性質によって異なる
■12%(耐久年数20年)TEPCO
■21.6%(1.15V以上)
■15.1%(フィルム型※製造を1プロセス化)東芝
重量・厚み重い・厚い軽い(薄い)
価格高い安い(製造コスト1/6〜1/3)
製造プロセスSiO2+C→Si+CO2
大量のCO2がでる
さまざま
常温で液体性状のものもあり「塗る」ことも可能。
問題点・中国が圧倒的シェアを誇っている
・新疆ウイグル自治区で強制労働疑惑がある
・耐熱性が悪い
・光に対して不安定
・量産化、商品化に遅れている
シリコン系太陽電池とペロブスカイト太陽電池の比較表(編集部作成)

では、なぜ、どのように日本がペロブスカイト太陽電池の開発に取り組んでいるか紹介します。

ペロブスカイト太陽電池 引用:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000179.000032322.html

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